表向きでは公営競技と呼ばれているものの、蓋を開けてみればギャンブルという現実のボートレース。
競艇以外にも競馬や競輪やオートレース、パチンコ・スロットなども依存症対策に努めているようです。
とは言ってもどこまで本格的に対策しているのか疑問を持つ人も少なくないのではないでしょうか?
一部の依存症の観客によってレースが成り立っていることも事実ですし、依存症への対策もなんだか中途半端なものに終わっていることが多いと思います。
今回もギャンブル依存症への対応策が新たに発表されたのでその具体策を見ていこうと思います。
目次
家族が申請 ギャンブル依存者を入場拒否に!?
営業時間が長く、ほぼ休むこと無く365日営業してさらには全国で11,310店舗(平成27年度)もあるパチンコ屋。
最近では遊戯する台や大当たり終了画面で「パチスロは適度に遊びましょう」と書かれていたり、店内のトイレには「依存症相談電話」などの啓発ポスターが貼られていたりします。
しかし実際それは表向きなだけである気がします。
ギャンブルはのめり込んでしまうのが常であり、お金を楽しく儲けられるかもしれないという期待から簡単にギャンブルを止めることはできません。
今回、全国モーターボート競走施行者協議会(MRA)ではギャンブル依存症の家族が舟券を購入できないような仕組みを導入したようですがその効果は果たして。
舟券を買えないように家族が申請
対象者が特定の条件に当てはまっている場合は競艇場・場外発売場へ入場できないようになります。
元々は本人自ら申請が可能だったのですが今回は家族にも範囲を広げてギャンブル依存症への対策を行うようです。
対象者の入場が規制される競艇場や場外舟券発売場は全国が規制の対象となるわけではなく、家族が申請する際に指定した競艇場やボートピアのみが対象となるようです。
具体的な規制方法は記載されていませんがあらかじめ顔写真や特徴を記録してそれらしい人がいたら入場を断るといったところでしょうか。
ただ競艇場にはSGやG1ともなると膨大な観客が押し寄せるので対象者を探し出すことは困難になるのではないかと思います。
ギャンブル依存症チェック
よくあるギャンブル依存症チェックですがこれに当てはまらない人はそもそも競艇をしていないと思います。
パチンコや競馬しかり、楽しみながら場合によっては楽にお金を稼げるという点において依存するのは当然です。
というのもパチンコでは大当たりになった瞬間、脳からドーパミン(脳内麻薬とも言われる)が分泌されます。
このドーパミンは脳内麻薬と呼ばれる通り、麻薬と同じ性質があるようです。
競艇や競馬などの公営ギャンブルも自分が予想した艇が予想順でゴールした際、このドーパミンが大量に分泌されます。
そのため、ギャンブルへの依存はその人の性格や育ってきた環境に関係なく誰でもなりえるのです。
全国モーターボート競走施行者協議会に記載されているギャンブル依存症の定義や症状・依存症チェックをしてみましょう。
ギャンブル依存症の定義
一般的に「パチンコや公営競技のような賭け事にのめりこむことにより日常生活又は社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態」を指します。
ギャンブル依存症をチェック
「賭けることを楽しむ」という当初の健全な動機が別の動機にすり替わることが発症の引き金です。
すり替わる動機には次の要素があります。
①負けを取り戻す(負け追い)
②より強い興奮を味わう
③イライラ・ゆううつ感を解消する
④賭けていると落ち着く
などがあります。これらの動機には「楽しくなくなった(飽きた)から止める」という歯止めが効きません。
それゆえ遅かれ早かれ、
⑤ギャンブルに関することが頭から離れない
⑥上手に加減できない
というとらわれの状態に陥ります。その結果、
⑦ギャンブル関連の嘘
⑧大切な人間関係の危機
⑨ギャンブルを原因とした借金
が生じます。
【ギャンブル依存診断】
DSM5(精神障害診断基準集:米国精神医学会作成)では上記の①~⑨のうち4つ以上が満たされた場合に「ギャンブル障害」と診断します。
このうち①「負け追い」は重要な鑑別症状です。
4つ以上、当てはまるものがある人はギャンブル依存とのことですが…
ほとんどの人が当てはまっているはずです。
自然経過
専門的な治療なしでも過半数は回復すると考えられています。
原因
性格/気質、社会的ストレス、家族葛藤などの心理的要因、知的1発達障害、更にうつ病等の併存精神障害が複雑に絡み合っています。
「ギャンブルをやめれば解決する」という単純な因果論では捉えきれません。
対処法
ギャンブル動機を手掛かりにして個別のニーズ(欲望)を探します。
それは「ギャンブルに何を求めています(いました)か?」という自問です。
自分のニーズがわかれば、それを満たす代替行動に取り組みます。
もしギャンブルを継続したいのであればそのニーズに絞り込んだギャンブル戦略に修正します。
但し併存障害を有する方はその治療を優先します。
Q&A
Q:有効な治療法はありますか?
A:ギャンブルに替わる充足方法(趣味活動や日常生活等)を色々と試みる「欲望充足法」をお勧めします。
またギャンブルの収支決算を記録したり、「迷惑をかけたこと」をリスト化することで、
歯止めをかけることも有効です。
Q:ギャンブル依存症は病気なの?
A:精神障害(disorder)ではありますが、精神疾患(diSease)とは断定できません。
「原因としての脳病変」が確認できていないからです。現在は脳画像研究などに基づく推定段階です。
Q:どんな人が破滅的な結果になりやすいの?
A:どちらかといえは「我慢強い人」「甘え下手な人」です。借金等の問題を隠したまま、真面目に一人で
解決しようとして、硫威的な結果に至る傾向があります。この傾向は幼少期における両親等の飲酒問題や
ギャンブル問題の存在と関連しています。
Q:ギャンブル依存症は進行するの?
A:一部の方は徐々に頻度や掛け金が増えてゆきます。しかしアルコール依存や薬物依存と違い、半数以上の方は
止めるか、元の小遣い範囲のギャンブルに戻ります。
このようにギャンブル依存症は自然回復率の高い障害と考えられています。
Q:電話相談でも有効なの?
A:有効です。電話で自分の問題を確認し整理するだけでも、安心感が得られます。
その結果、代替手段などの対処法が浮かんでくることがあります。
Q:家族支援のみでも有効な解決手段になりますか?
A:充分になります。家族の態度の変化が本人の変化を導きます。
その際「なぜ自分はこの人と一緒に居たいのか?」という自問を通じて、家族が自身の欲求に気づくことが
重要です。
このとき「ギャンブルを止めさせる」という目的のみでの関与は有害です。
ギャンブル依存症対策の効果の影響は?
ギャンブル依存症を救いたいけど競艇の売上が無くなっては困る。
矛盾しているとも思われますが陣営側も悩みのタネだと思います。
ギャンブル依存症対策もせずに年間1.2兆円も売り上げていればボートレース業界の評判は悪くなり、クレームもかなり出てくることでしょう。
かといって売上を落とすわけにもいかず、結果として誰も利用しなそうで且つクレームや家族の訴えを納得させられそうな“家族申請による規制”が掲げられと思ってしまいます。
実際は家族に内緒で競艇場に行く人も多いでしょうし、原因解決には繋がりにくいのではないかと思います。
まとめ
今回のギャンブル依存者への対策ですが現実的にはかなりハードルが高いと感じました。
仮に家族が機関へと連絡をし、舟券を購入できなくなった場合、家庭で他のトラブルが発生する可能性も大いにあるのではないでしょうか?
例えば…「余計なことをしたな!ふざけるな!」その後、暴行。
こんな事態になれば本末転倒です。
あくまで“競艇業界ではギャンブル依存者対策に努めています”という姿勢を見せているだけのように感じてしまうのは私だけではないはずです。
依存症の人間は入院をしたり薬を飲むなど、根底から依存症の原因を直さなければいけないと思います。
舟券を購入できない状態でも変装をして競艇場やボートピアに行ったり、友人に舟券購入を代理でお願いすれば今回の策は無駄になってしまいます。
もっと根本から解決できるような仕組みになればさらにいいと感じました。
【公的相談機関等】厚生労働省ホームページより転載
・保健所
こころの健康、保健、医療、福祉に関する相談、未治療、医療中断の方の受診相談、思春期問題、ひきこもり相談、アルコール・薬物・ギャンブル依存症の家族相談など幅広い相談を行っています。
相談は電話相談、面談による相談があり、保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応します。
また、相談者の要望によって、保健師は家庭を訪問して相談を行うこともできます。
面談や訪問を希望する場合は事前に電話での予約をお勧めします。
保健師は地域を分担して受け持っており、たいていの場合相談者の居住地の担当保健師がその相談に対応します。
自分の担当地域の保健師と会っておくと、その後の相談がスムーズに進みます。
・全国保健所一覧(http://www.phcd.jp/03/HClist/)
・精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは各都道府県・政令指定都市ごとに1か所ずつあります(東京都は3か所)。
「こころの健康センター」などと呼ばれている場合もあります。
センターでは、こころの健康についての相談、精神科医療についての相談、社会復帰についての相談、
アルコール・薬物・ギャンブル依存症の家族の相談、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談、認知症高齢者相談など精神保健福祉全般にわたる相談を電話や面接により行っています。センターの規模によって
異なりますが、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者、作業療法士などの専門職が配置されています。
このほか、センターによって、デイケア、家族会の運営など各種の事業を行っていますが、センターによって事業内容が異なっているので、直接電話するか、ホームページなどで確認してください。
・全国精神保健福祉センター一覧(http://www.zmhwc.jp/centerlist.html)
出典:厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html)
【ご相談先】
一般財団法人 ギャンブル依存症予防回復支援センター サポートコール
勝舟投票券の購入にのめり込んでしまう等の不安のある方の相談窓口
(年中無休・24時間受付)
【家族申請による競走場・チケットショップ(場外発売場)への入場規制の概要】
1.規制の対象となる方
○ 賭事の抑制を要するギャンブル障害と医師により診断されている方
○ 勝舟投票券を購入していることにより、日常生活又は社会生活に著しく支障が生じている方(例えば、世帯の経済状況に照らして著しく多額の舟券を購入しているなど、具体的かつ客観的に証明できる状況)
2.申請できる家族
○ 規制の対象となる方と同居している親族
(配偶者並びに6親等内の血族及び3親等内の姻族かつ成年者であること)
3.申請手続き
○ 家族が申請書類(所定の申請書・住民票・診断書等)を入場規制を希望する競走場及びチケットショップ(場外発売場)の「依存症相談窓口」に提出
○ 規制の対象となる方が上記1に該当すると判断された場合、競走場・チケットショップ(場外発売場)の入場規制を実施
※規制の対象となる方の家族からの申請に基づき、本人の意思にかかわらず、入場規制を実施
※規制の対象となる方の家族による申請に際しては、家族が入場規制実施者に対し、客観的な判断材料となる情報(医師が家族に発行した規制の対象となる方本人に関する診断書等)を提供
4.その他
○ 規制の対象となる方の意思にかかわらず、競走場・チケットショップ(場外発売場)
の入場規制を実施するため、
【入場規制前】規制の対象となる方本人による「意見の申し出」
【入場規制後】規制の対象となる方本人による「解除申請」
を可能としますが、いずれの場合においても入場規制の解除に足りる相当な理由が証明できる書類による申請が必要(「ギャンブル障害」の回復証明等の要件を設定)
○ 入場規制を希望する競走場、チケットショップ(場外発売場)毎に申請が必要
○ 申請から入場規制まで最短でも約2ヶ月程度の期間が必要
5.受付開始日
○ 2018年10月1日(月)
6.各種問合せ先
○ 入場規制を希望する競走場及びチケットショップ(場外発売場)の「依存症相談窓口」
【家族申請による電話投票の利用停止について(勝舟投票券の購入にのめり込んでしまう方のご家族の方への対応)】
「勝舟投票券の購入にのめり込んでしまう等の不安のある方」への対応の一環として、
電話・インターネット投票(以下「電話投票」といいます。)の加入者ご本人が「ギャンブル障害」等の
状況にある場合において、加入者のご家族からの申請に基づき、電話投票のご利用を停止させていただく
制度を開始いたします。
「会員ご本人からの申請による利用停止制度」もございますので、併せてご確認ください。
【制度開始にあたって】
ボートレースは、昭和27年に初開催され、モーターボート競走法の趣旨に沿い、地方財政に貢献するとともに、
国家的事業への協賛、船舶関連事業の振興、海事思想の普及並びにその他公益の増進を目的とする事業に大きく
寄与しているところでございます。
また、皆様にいつでも安心してお楽しみいただけるよう、業界努力目標として、
「Run to the Future! ~お客様とともに~」を掲げております。
そこで、お客様に安心して末永くお楽しみいただくために、ボートレース業界としての
「ギャンブル障害への対応」に取り組んでおります。
万が一「ギャンブル障害」に陥った場合、ご本人のみならず、ご家族の日常生活にも影響が及びます。
特に、重篤の場合は、早期に専門の医師の診断を受け、治療を開始することが望ましいと考えられます。
ボートレースでは、電話投票に関しまして、2017年10月から、加入者ご本人からの申請に基づき、
そのご利用を停止する制度を開始しております。
今般、以下のとおり、加入者のご家族にも申請の範囲を広げ、そのご利用を停止する制度を開始することと
いたしました。
加入者ご本人と同居している加入者のご家族のご協力をいただくことで、より早い対応が可能になるとともに、
ご家族の生活に対する影響も小さくできるのではないかと考えております。
ボートレース業界では、引き続き「ギャンブル障害への対応」に積極的に取り組み、お客様に安心して
ボートレースをお楽しみいただけるよう努めてまいります。
【家族申請による電話投票の利用停止の概要】
1.対象となる電話投票の加入者(以下、「当該加入者」という)
○ 賭事の抑制を要するギャンブル障害と医師により診断されている加入者
○ 電話投票での勝舟投票券の購入状況が、世帯の経済状況等に照らして著しく多額である加入者
○ 電話投票により、日常生活又は社会生活に著しく支障が生じていると客観的かつ具体的に認めることが
できる加入者
2.申請することができる対象者(以下、「申請者」という)
○ 当該加入者に該当する疑いのある加入者の家族
(加入者と同居する親族(配偶者並びに6親等内の血族及び3親等内の姻族かつ成年者であること))
3.申請手続き
○ 申請者が申請書類(所定の申請書・住民票・診断書等)を指定された宛先に提出
○ 加入者本人が1の当該加入者と判断された場合、電話投票の利用停止が実施されます
※申請書類に基づき、加入者本人以外からの申請により、電話投票の利用停止を実施する
ことができる制度であることから、申請に際して申請者は停止実施者に対し、
客観的な判断材料となる情報(医師が会員家族に発行した会員本人に関する診断書等)を
提供する必要があります。
4.その他
○ 契約当事者である加入者の意思にかかわらず、電話投票の利用停止を実施するため、
【申請受付から利用停止実施前】加入者本人による「意見の申し出」
【利用停止実施後】加入者本人及び申請者による「解除申請」
を可能としますが、いずれの場合においても利用停止の解除に足りる相当な理由が証明できる書類による
申請が必要
5.受付開始日
○ 2018年4月1日(日)
6.各種問合せ先
○ 一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会 家族申請に関する問合せ窓口
受付時間 10時から16時 (平成30年4月1日以外の土日祝日及び年末年始は除く)
お問合せ連絡先:0570-666-506
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