プロペラグループという言葉を聞くことも最近は少なくなくなりました。
少し時代をさかのぼって、競艇の過去のプロペラ事情と現在のプロペラのルールに迫ります。
目次
競艇のプロペラルール 変更前と変更後
平成24年4月。
プロペラに関するルールが大幅に変更され、ボートレース業界に衝撃が走りました。
それまで各選手が自分のプロペラを3枚まで開催地に持ち込んで金属製のハンマーで叩いて調整を行っていました。(これを持ちペラ制と言います)
この頃は選手自身がメーカーからプロペラを取り寄せてそれを家や後述する工房においてハンマーで叩いたり、叩きやすくするためにガスバーナーで熱したりしていました。
伸ばすことも形状を変えることも可能だったのです。
当時は選手間でプロペラグループも存在していました。
プロペラグループとは
プロペラグループ、通称ペラグループとはプロペラの研究や開発をするために作られたグループです。
1つのグループには複数の選手が属しているため、有意義な情報交換が可能となります。
各グループは共同のプロペラの工房(ペラ小屋)を持ち、どうやったら早くなるかなど調整具合をち密に話し合い、ペラ調整をしていました。
グループは大抵の場合、仲のいい選手や同期の選手が集まって結成されていましたが、ほとんどは同じ支部同しで集まっていたことでしょう。
特に先輩が後輩に(師匠から弟子に)ペラを教えるにもプロペラ工房は最適な場所だったはずです。
プロペラグループに属さない選手は自分1人で研究・調整・開発をしますが、仮に大発見レベルの調整を見つけたとしてもそれは自分だけが持っている知識になるので、必ずしもグループに属した方が有利だったとは言えません。
ペラグループでは情報交換以外にも調整器具や機械の経費をグループの全員で負担するので経済的な面においても大きなメリットでした。
しかし選手持ちプロペラ制度が廃止され、プロペラ調整時に叩くハンマーも木製(プラスチックも有り)になってしまったため、現在ではプロペラグループの意味をなさなくなっています。
現在のプロペラ制度
ルールが変更され、現在では抽選で決められたモーター1基につき、プロペラが2枚が配備される仕組みになりました。
自分で調整してきたプロペラは一切使用できないことになってしまったのです。
開催地で用意された2枚のプロペラのうち、1枚はヤマト製で1枚はナカシマ製となっていて、どちらのプロペラを使っているのかは観客にも公表されます。
ヤマトとナカシマのプロペラの違い
ヤマト・ナカシマと2種類あるプロペラですがほとんどの選手はヤマトのプロペラを選択しています。
その理由がモーターボートのモーターを作っているのがヤマトのため、必然的にヤマトのモーターとの相性がいいからです。
ヤマト公式HPより引用
『S1-改型プロペラ』は、直径187mm、ピッチ215mmの2枚翼で、質量は373±1gで製造されています。推進特性に大きく影響するため、三次元造形処理と多角的な物理計算によって開発され、高度な製造技術と品質管理で均一化された製品を作り、年間約2,500枚出荷しています。
ボートレース用製品の製造販売|ヤマト発動機
ではナカシマのプロペラはいつ使うのか?
アウトから捲くる時やチルト3度で捲くる時にナカシマのプロペラを使うことが多いようです。
プロペラ販売元ナカシマ株式会社公式HP
なお、プロペラの使用期間は原則で2年間です。
新制度による変更点
プロペラ持ち込み制度廃止・叩きのハンマーも変更となった新制度。
ハンマーは金属製の場合はアルミ棒を当ててピンポイントで叩くことが可能でしたが変更後は木製及びプラスチック製のハンマーとなり、細かい調整が非常に難しくなりました。
叩きたいところを叩けず苦戦した選手も出ていることでしょう。
しかし金属ハンマーやバーナーなどはペラ調整では使えなくなってしまい、選手は水面や気温を考慮してわずかな調整しかできなくなったので、前節の選手が使っていた状態が自分に合っていればプロペラを叩かずそのままレースに出走するということもあるようです。
プロペラ1枚の値段は2万円超え!
選手がプロペラを持ち込みしていた時代は外注で加工して貰う場合、1枚10万円前後でした。
通常に購入をした場合、1枚あたり2万3000円です。
1節で3枚のプロペラを持ち込んでいたのでプロペラ代だけで最低でも7万円も必要だったのですね!
ボートレーサーは年収が高いことでも有名ですが新人選手やデビューしたばかりの選手には少し荷が重かったことでしょう。
なお、持ちペラ時代は自分のプロペラには自分の登録番号の刻印が押され、自分しか使ってはいけないルールだったので先輩や師匠からペラを譲り受けたりすることはありませんでした。
新制度に変更された理由は売上を上げるため?
競艇の醍醐味でもあったプロペラ持ち込み制度ですがこれが廃止された理由を考えてみます。
過去のプロペラ持ち込み制度の時代、競艇は選手の能力差だけではなく、プロペラも予想する上で重要な要素となっていました。
競艇歴が長い人は有利ですが競艇初心者や新規顧客からしてみればただでさえ難しい予想にプロペラの要素まで加味して予想しなければいけないのでなかなかお客さんが付きませんでした。
しかし、モーターとプロペラをセットにすることによってモーター性能(勝率など)だけを見れば機体自体の優劣も判断しやすくなり、あとは選手の能力だけを予想すればいいだけなので初心者でも簡単に当てることができるようになったのです。
事実、競艇の売上は右肩上がりであることを考えるとこの判断は正しかったと言えるのですね!
予想が難しいという人は選手の階級とモーター性能を見て予想すると当たりやすくなります。
選手階級:A1>A2>B2>B1
モーター性能:勝率は2連対率が高いモーター
プロペラについては出走表において情報を見ることができるので予想をする時にぜひ一度見てみてください!変わった記載はほとんどありませんが…
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