競艇界で最も注目度が高いSGグランプリ。
その名をよく耳にすることが多いのですがいまいちグランプリの内容を理解していない人もいるかと思います。
この記事を読めば競艇のグランプリが一体どんなレースなのか・どんな格式があるのか・出場できる選手の条件などがすぐに分かります。
グランプリを知ってボートレースをさらに楽みましょう!
目次
優勝賞金1億円 公営競技の中でも高い賞金のグランプリ
全ボートレーサーがグランプリへの出場を目標にしているため、G1やSGの優勝インタビューではグランプリに触れられることも多いです。
グランプリ(THE GRAND PRIX)といえば優勝者にはボートレースとしては最高賞金の1億円が贈呈されることで有名です。
年末には各公営競技において1年を締めくくるにふさわしい1大レースが開催されます。
競艇ではグランプリ、中央競馬では有馬記念、競輪では競輪グランプリ、オートレースではスーパースター王座選手権が行われます。
ご存知の通り中央競馬は公営競技の中で1番の売上です。
ともなれば有馬記念の騎手賞金が一番高いと思いきや、実際はそうではないのです。
公営競技年間売上とグラフ
まずは各公営競技の年間売上をご覧ください。
■2017年度公営競技売上
公営競技 | 売上 | |
中央競馬 | 2兆7476億6248万4800円 | |
競艇 | 1兆2063億6086万7100円 | |
地方競馬 | 5525億3925万6190円 | |
競輪 | 6400億620万9000円 | |
オートレース | 659億5313万2000円 |
■2017年度公営競技売上グラフ
中央競馬は主に土日祝日のみの開催となっていますが、毎日開催されている他の公営競技と比べてもレベルが違う売上金額となっていることが分かります。
それでは次に選手(騎手)の収入について見ていきましょう。
ボートレーサーの収入
競馬の中でも最も有名な武豊選手の生涯獲得賞金は2017年の時点で820億円を突破しています。
しかし競馬はボートレースとは違い、獲得賞金の5%が配当となるため実際の取り分は約41億円になります。
ボートレース界において最も賞金を獲得している選手は松井繁選手ですがこちらは35億円を突破しています。
売上の差はこれほどありますが、騎手とボートレーサーがもらえる金額は近く感じますね。
さすがは競艇、選手の平均年収は1,600万円という世界です。
賞金1億円は競艇と競輪のみ
競艇・競輪ともに年末にはグランプリが開催されますが2004年から賞金金額が1億円に変更されました。
さらに競輪では“公営競技で一番高い賞金”を意識して1億160万円に変更されています。
1つの節で1億円を超える賞金は競艇のボートレースグランプリと競輪のKEIRINグランプリのみとなります。
なお、賞金1億円の大台に乗せたのは競艇の方が先でギネス世界記録にも認定されています。
グランプリの開催地や開催時期
グランプリが開催される競艇場はほとんどが大阪の住之江競艇場となっています。
7年に1度くらいの割合で住之江以外の場所で開催されていますが平和島が3回と住之江の次に多く、戸田競艇・福岡競艇ではそれぞれ1回ずつ開催されています。
開催される時期は天皇誕生日の12月23日を最終日とする日程が組まれていますが曜日によっては24日・25日にずれる場合もあります。
2019年に開催される第34回グランプリでは12月22日を優勝戦とし、グランプリ初めてのナイターで開催されます。
こちらの開催地も住之江競艇場で5年連続29回目となります。
グランプリ出場条件
競艇のグランプリはボートレーサーの全員が出場できるものではありません。
グランプリ=賞金王決定戦競走というだけあって、1年間で一番高い賞金を稼ぐ選手(賞金王)を決定するためのレースとなります。
それまでの獲得賞金に1億円の優勝賞金が追加されるため、グランプリで優勝すると賞金王になりやすいものの、稀にグランプリの賞金を獲得しても年間獲得賞金2位などで終わるケースもあります。
その年の1月1日から11月下旬に開催されるSGチャレンジカップまでの間を対象期間とし、獲得賞金ランキング上位60名から抜粋します。
競艇ではB2・B1・A2・A1と選手の階級がありますがより多く賞金が稼げるのは勝率の高いA1階級選手だけとなっています。
これはSGやG1の出場条件がA1を必須としているためです。
A1以外の階級の選手は勝率を上げなければグランプリはもちろんのこと、G1にも出場することができません。(一部のレースを除く)
グランプリには獲得賞金上位18名が出場でき、残った19位~60位の選手はグランプリシリーズ戦へと出場することができます。
グランプリと混同して分かりにくいのですが、グランプリシリーズ戦はグランプリと同日程・同開催地で行われるSG競争です。
2部構成で並行して行われますがグランプリ及びシリーズ戦で節の流れが異なるため混乱しやすいかもしれません。
この点については後述します。
また、スタート事故などで選出除外があるほかに懲戒規定により出場停止処分を受けている選手は獲得賞金が高くても出場することはできません。
グランプリへの獲得賞金ボーダー
グランプリとシリーズ戦に出場するにはどのくらいの金額の賞金を獲得している必要があるのでしょうか?
過去4年間のグランプリ及びグランプリシリーズ戦出場ボーダーを調査しました。
開催年 | シリーズ戦 | グランプリ |
2014年/第29回 | 3229万円 | 5012万円 |
2015年/第30回 | 3281万円 | 4977万円 |
2016年/第31回 | 3013万円 | 5335万円 |
2017年/第32回 | 3402万円 | 5804万円 |
2018年/第33回 | 3523万円 | 5707万円 |
2019年/第34回 | 3846万円 | 6366万円 |
グランプリへの出場ボーターは“5282万円”でグランプリシリーズ戦への出場ボーダーは“3231万円”が平均となりました。
SGを1つでも優勝すればグランプリシリーズ戦には出場できるといった感じです。
全国24の競艇場で行われるG1周年記念競走の賞金は900万円なので周年記念で優勝したからといってグランプリやグランプリシリーズ戦に確実に出場できるわけではないのです。
グランプリ特典
トライアルを勝ち上がったのちに最終日グランプリ優勝戦に進んだ6名の選手は次のSGレースに優先的に出場することができます。
SGボートレースクラシック
SGボートレースオールスター
SGグランドチャンピオン
SGオーシャンカップ
本来であればファン投票や勝率が高くなければ出場することができないSGレースに優先的に出走できるため、翌年もグランプリに出場できる可能性が高くなります。
ボートレースグランプリ歴代優勝選手
過去にグランプリを制した選手を紹介していきます。
グランプリが初めて開催されたのは昭和61年ですが今回は直近の歴代選手から順に紹介していきます。
次のページに送ることで過去の優勝選手も確認することができます。
それでは第32回(2017年)までの歴代賞金王決定戦競走の優勝選手をご覧ください!
回 | 開催年 | 場 | 登番 | 優勝選手 | 歳 | 支部 | 枠 | 決まり手 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
32 | 2017年/H29年 | 住 | 4444 | 桐生順平 | 31 | 埼玉 | 1 | 逃げ |
31 | 2016年/H28年 | 住 | 3783 | 瓜生正義 | 40 | 福岡 | 1 | 逃げ |
30 | 2015年/H27年 | 住 | 3622 | 山崎智也 | 41 | 群馬 | 1 | 逃げ |
29 | 2014年/H26年 | 平 | 4418 | 茅原悠紀 | 27 | 岡山 | 6 | 差し |
28 | 2013年/H25年 | 住 | 3941 | 池田浩二 | 35 | 愛知 | 1 | 逃げ |
27 | 2012年/H24年 | 住 | 3622 | 山崎智也 | 38 | 群馬 | 4 | まくり差し |
26 | 2011年/H23年 | 住 | 3941 | 池田浩二 | 33 | 愛知 | 1 | 逃げ |
25 | 2010年/H22年 | 住 | 4013 | 中島孝平 | 31 | 福井 | 2 | まくり |
24 | 2009年/H21年 | 住 | 3415 | 松井繁 | 40 | 大阪 | 3 | 差し |
23 | 2008年/H20年 | 住 | 4024 | 井口佳典 | 31 | 三重 | 1 | 逃げ |
22 | 2007年/H19年 | 福 | 3854 | 吉川元浩 | 35 | 兵庫 | 1 | 逃げ |
21 | 2006年/H18年 | 住 | 3415 | 松井繁 | 37 | 大阪 | 1 | 逃げ |
20 | 2005年/H17年 | 住 | 3719 | 辻栄蔵 | 30 | 広島 | 1 | 逃げ |
19 | 2004年/H16年 | 住 | 3556 | 田中信一郎 | 32 | 大阪 | 6 | 抜き |
18 | 2003年/H15年 | 住 | 3556 | 田中信一郎 | 31 | 大阪 | 1 | 逃げ |
17 | 2002年/H14年 | 住 | 3285 | 植木通彦 | 34 | 福岡 | 3 | まくり |
16 | 2001年/H13年 | 住 | 3556 | 田中信一郎 | 29 | 大阪 | 1 | 逃げ |
15 | 2000年/H12年 | 平 | 3499 | 市川哲也 | 32 | 広島 | 3 | まくり |
14 | 1999年/H11年 | 住 | 3415 | 松井繁 | 30 | 大阪 | 2 | まくり |
13 | 1998年/H10年 | 住 | 3557 | 太田和美 | 25 | 大阪 | 3 | まくり |
12 | 1997年/H9年 | 住 | 3422 | 服部幸男 | 26 | 静岡 | 5 | まくり差し |
11 | 1996年/H8年 | 戸 | 3285 | 植木通彦 | 28 | 福岡 | 4 | つけまい |
10 | 1995年/H7年 | 住 | 3285 | 植木通彦 | 27 | 福岡 | 5 | 3周1M差し |
9 | 1994年/H6年 | 住 | 2096 | 中道善博 | 45 | 徳島 | 4 | 2M差し |
8 | 1993年/H5年 | 住 | 2291 | 野中和夫 | 49 | 大阪 | 5 | まくり |
7 | 1992年/H4年 | 住 | 2291 | 野中和夫 | 48 | 大阪 | 3 | 2M差し |
6 | 1991年/H3年 | 平 | 2502 | 松田雅文 | 41 | 福岡 | 2 | 差し |
5 | 1990年/H2年 | 住 | 2672 | 高山秀則 | 42 | 宮崎 | 1 | 逃げ |
4 | 1989年/H元年 | 住 | 2205 | 福永達夫 | 41 | 山口 | 1 | 差し |
3 | 1988年/S63年 | 住 | 2291 | 野中和夫 | 44 | 大阪 | 5 | まくり |
2 | 1987年/S62年 | 住 | 1864 | 安岐真人 | 42 | 香川 | 4 | 逃げ |
1 | 1986年/S61年 | 住 | 1515 | 彦坂郁雄 | 45 | 千葉 | 3 | 差し |
住…住之江競艇場
平…平和島競艇場
戸…戸田競艇場
福…福岡競艇場
グランプリの流れ(進行日程)や仕組み
グランプリの複雑な仕組みを画像も使って詳しく説明していきます。
グランプリを予想したことがある人には分かると思いますが、当日の住之江競艇場の出走表は一見、1R~12Rまであるものの中身を見るとグランプリとシリーズ戦がごちゃごちゃに組まれています。
これを読んでいただければグランプリの仕組みや流れを理解できると思います。
まず、グランプリでは賞金ランキング上位18名の選手だけで行われます。
前半の5日間でトライアルを行い、最終日に賞金王決定戦と順位決定戦が行われます。
優勝戦以外では各レース、順位に応じた得点制となっています。
レース | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 | |
グランプリ | トライアル1st | 12点 | 10点 | 9点 | 7点 | 6点 | 5点 |
トライアル2nd | 10点 | 9点 | 7点 | 6点 | 5点 | 4点 | |
シリーズ | 予選/一般/準優勝 | 10点 | 8点 | 6点 | 4点 | 2点 | 1点 |
シリーズ特別/復活 | 12点 | 10点 | 9点 | 7点 | 6点 | 5点 |
【初日・2日目】
まず賞金ランキング7位~18位の12名の選手でトライアル1を初日・2日目に渡って行います。
各選手2レースずつ出走し、その順位を得点化して上位6名がトライアル2に進みます。
ここで上位に入れなかった選手はその後、同時に行われているシリーズ戦に3日目から出場します。
【3日目・4日目・5日目】
トライアル2が行われるのですが賞金ランキング6位以内の選手がここで出場します。
この6名は賞金ランキング上位ということでシードとなっているため、トライアル1で勝ち進んだ6名と合わせて合計12名でトライアル2がとり行われることになります。
トライアル1で勝ち進んだ選手の得点もここでリセットされます。
各選手、3レースで出走しその順位を得点化します。
【最終日6日】
トライアル2の下位6名で順位決定戦が行われます。
その後、トライアル2で得点上位6名で賞金王決定戦(グランプリ優勝戦)が行われ、優勝した選手は1億円を手にすることができます。
2着~6着の選手は順位に応じてそれぞれ2位・3位…と賞金王決定戦の順位が決められます。
(※画像転載元:ボートレース平和島)
グランプリは通常のモーター抽選とは異なる
通常、レースで使用するモーターは開催地にあるモーターの中から前検日に抽選によって決められます。
しかしグランプリにおいては開催競技場(ほとんどが住之江)で勝率の高いモーターや専門誌、スポーツ紙の記者が推薦したものが用意され、その中から抽選を行うことになります。
環境面においてより差をつけないためにこのような処置がとられていますがさすがはその年のナンバー1を決めるレースだけのことはあります。
グランプリシリーズの流れ(進行日程)
シリーズ戦においてもグランプリと同じく、6日間で開催されます。
進行は通常のSGやG1と同様です。
まず開催初日から4日間が予選となり各順位に応じて選手には得点が付与されます。
【初日・2日目】
獲得賞金19位~60位の42名で実施されます。
初日の第10R、上位6名の選手で”シリーズ特別戦”に出場しますがこの得点は通常よりも高く設定されています。
この時、トライアル1の得点を持ち越してきますが得点の不利が起きるため、3日目にトライアル1で敗れた6名の選手でシリーズ復活戦を行います。
【3日目・4日目】
予選3日目からは上記で記載したグランプリのトライアル1で残れなかった選手がシリーズ戦に参戦し、予選が続けられます。
【5日目】
準優勝戦を3つのレースに分けて行われます。
予選での得点率順位から出走表が組まれていきます。
準優勝戦 | A | B | C |
1 | 3位 | 2位 | 1位 |
2 | 4位 | 5位 | 6位 |
3 | 9位 | 8位 | 7位 |
4 | 10位~12位 | ||
5 | 13位~15位 | ||
6 | 16位~18位 |
【最終日6日目】
第11R、シリーズ優勝戦が開催されます。
準優勝戦で1着だった3選手が1~3号艇に、2着だった3選手が4~6号艇に枠入りします。
グランプリの出走表分類
グランプリ・グランプリシリーズ戦と分類され、さらにトライアル1・2、予選、シリーズ戦特別などが存在するため、どのレースがグランプリかわからなくなる場合はこちらをご覧ください。
【グランプリ】
トライアル1…グランプリの予選
トライアル2…シード選手を含めた予選
順位決定戦…7位~12位を決定
GP優勝戦…優勝選手および6位までの選手を決定
【グランプリシリーズ】
予選
一般戦
選抜戦
特別選抜A戦
特別選抜B戦
シリーズ戦復活戦
準優勝戦
シリーズ優勝戦
出走表には上記のように記載されているので対象のレースを間違えないようにしましょう。
グランプリ6着までの賞金
グランプリ優勝戦、すなわちグランプリ6位までの選手に贈られる賞金を紹介します。
1着:1億円
2着:4,700万円
3着:3,300万円
4着:2,400万円
5着:2,200万円
6着:2,000万円
この他に順位決定戦では350~1,600万円の賞金が、予選や一般戦でも6~16万円の賞金を獲得できます。
グランプリとグランプリシリーズの仕組みを知って開催当日は予想に集中して勝利を掴みましょう。
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