ボートレーサーが新型コロナウイルス対策の持続化給付金を不正受給した疑いがある問題で、競技運営を担う日本モーターボート競走会と選手会は3月30日、東京都内で記者会見し、選手211人が制度の趣旨を理解しないまま安易に受給していたと明らかにしました。
221人もの選手が理解しないまま不正受給
発表では
「選手211人が制度の趣旨を理解しないまま安易に受給していた」
としていますが、選手会は2020年7月の時点で不正受給の件を把握していて、「詐欺罪に抵触する可能性」と選手に警告していていたようですが、3月30日時点で自主返還した選手はたったの39人。
受給した選手はレースの打ち切りや、フライングのペナルティ休みを申請理由としていたようですが、レース打ち切りの場合は別のレースに参加できる措置が取られていたり、フライングによるペナルティ休みはそもそもコロナは関係ないので、コロナで影響を受けているとは判断されません。
よって今回不正受給として問題視されています。
特にフライングのペナルティ休みが申請理由って「自己責任だろ」って言いたくなりますよね。
当初本当に趣旨を理解しないまま受給したのであれば仕方ないかもしれませんが、その後説明され詐欺罪に抵触する可能性があると警告を受けても返還に応じなかったのであれば、もう言い訳は通りませんね。
今回の公表のタイミングも7月に不正受給の件を把握していたにも関わらず、調査を始めたのはJRAが今月(3月)に騎手らの不正受給を公表した後だったそうです。
現在タレントをCMに起用する等、ボートレースのイメージアップに力を入れているようですが、今回の公表の遅さや選手の不正受給等、言っている事とやっている事が合っていないような気もしますね。
持続化給付金とは
2020年にニュース等で多く取り上げられていたので、知ってる方も多いとは思いますが、
持続化給付金とは感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金です。
給付対象は
法人の場合…資本金10億円以上の企業を除く、中小法人等を対象とし医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人
個人の場合…フリーランスを含む個人事業者
で、給付金額は
法人…200万円
個人…100万円
となっています。
給付の条件は
【法人】
給付金の給付額は、200万円を超えない範囲で対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたものとします。
【個人】
給付金の給付額は、100万円を超えない範囲で、2019年の年間事業収入(売上)から、対象月の月間事業収入(売上)に12を乗じて得た額を差し引いたものとします。
簡単に言うと、2020年1月~12月の各月の売上が2019年の同月より落ちていれば受取が可能となります。
※決算時期で対象月は変動します。
2020年売上の12カ月中、11カ月が2019年以上でも1か月だけ落ちていれば受け取れる大盤振舞な制度です。
あくまでコロナで影響を受けた事業者となっていますが、申請件数も多い事や給付の速度を重視した結果、不正受給が増えてしまっているようです。
持続化給付金の不正受給額は80億円超え
持続化給付金の不正受給は昨年から問題視されていますが、2020年11月の時点で80億円を超えています。
昨年は大学生の不正受給問題が何度もニュースで取り上げられていましたね。
3月6日にもJRAの所属する調教師や騎手、調教師の元で働く厩舎関係者165人が不正受給で1億9000万円を受け取っていた等、100億円は軽く超えていると思われます。
何故こんなに不正受給が起きているのかは
「売上の数字が操作しやすい」
「申請のやりやすさ」
しかし、持続化給付金は、個人の場合は確定申告書類、法人の場合は事業概況説明書、売上の減少を証明する売上台帳、本人確認書類などを用意すれば、パソコン、スマホから簡単に申請することができるのです。
「困っている人に、できるだけ速く」という考えから実行された申請の簡素化ですが、不正受給者にとっては、そこが狙い目になったようです。
持続化給付金不正受給の手口
7月には卸売り事業を営み、昨年およそ120万円の収入があったという嘘の確定申告(虚偽の経費を計上し、所得税はゼロ)を行ったうえで、スマホを使って給付金を申請、6月に上限の100万円を振り込ませたとして、埼玉県の大学生が逮捕されました。
多いのはこのパターンで、やはりコロナの影響で本来3月16日までだった確定申告の申告期限が延長されたことも追い風となりました。
ちなみに、申請の「アドバイス」などを行って成功報酬を受け取る「指南役」の誘いに乗ったケースも多く、そのバックには“オレオレ詐欺”グループがいる、という指摘もあります。
また、この持続化給付金は、1回しか受給できません。にもかかわらず、法人の経営者が給付金を受け取った後に、フリーランスとして「二重申請」するようなケースがけっこうあるようです。
持続化給付金は法人・個人事業主が対象ですが、実際には左記に該当せずコロナで仕事を失った方や収入の減った方も多くいるので、色々課題はあるのでしょうが、本当に困っている人に給付が届くようになって欲しいですね。
コメント